「書かずに死ねるか」という本を読んでいます

『書かずに死ねるか」は生きる基本を教えてくれる

野上 祐さんという記者が書いた「書かずに死ねるか」という本を読んでいます。
彼は40代にして膵臓がんで亡くなっています。

1972年生まれで2018年12月28日に亡くなられていますので、私より3つ年上で昨年亡くなられた方です。

朝日新聞社で働き、闘病しながら執筆を続け、あとがきを書いたのが2018年12月25日。
そのわずか3日後に亡くなられています。

私は「がんの闘病」に関する本は好きではありません。
医療関係の仕事につきながらこのように感じてしまうのは何故かわかりませんが、閉塞感を感じてしまうのです。
なので、「緩和ケアに携わる看護師が心を病む・・・」という話をよく聞くのですが、その気持がよくわかります。

この野上さんの本は『闘病日記』というよりは、リアルな現実を上手く表現している部分に心打たれました。

新聞記者だけあって、文章力は非常に高いのですが、それ以上に野上さんの「表現したい」という気持ちが文面に現れており、私たちが普段見逃しているようなことを言語化されています。

医療関係者と患者という場面も一部書かれてありますが、「自分がどう生きたいのか」「何故生きたいのか」「限られた時間で何を選択すべきなのか」・・・を教えられます。

病気でなくても、私達の「人生の砂時計」は常に進んでいます。

今私がこうして文章を書いている間にも、あなたがこの文章を読んでいる間にも、人生の時間は確実に減っています。

「今日は何を食べるか」「どこの店に行くのか」という何気ない行動の中にも「選択」があり、次の瞬間に人生が作られていきます。

美味しいものに出会えれば「幸せ」な時間を味わえますし、不味ければ「不幸」だと感じるかもしれません。
食の事については、非常に上手く表現しています。

コンビニで「カップラーメン」と「唐揚げ」を買って食べるのは健康には悪いと言われているかもしれないが、人生の中で「美味しい」と思えるなら、こっちのほうが良いのではないかと・・・

健康志向で美味しいものを我慢して「幸せ」と感じるなら良いのですが、それを「不幸」と感じながら実践するのなら止めたほうが良いと思いました。

その場面、場面での選択は実は非常に大事な意味をもっているという事を教えられました。

この本の中で特に私がぐっときた文章は

「光あるところに影がある。物ごとにはマイナス面があれば、たいていプラス面があるものだ。過去を参考にするのは良いが、その片方だけ見て「たられば」を語っても仕方がない」

「人はいく通りもの人生を生き比べることはできない」

という部分。
他人の人生は生きられません。自分の人生だけしか生きられないのです。

また、挿絵の中には妻が残した「小さなエビ」を「もらっていい?」と言い食べるシーンがあります。
食料として出されたエビに手を付けず、そのまま残すと「このエビは何のために生まれてきたのだろう?」と感じる・・・と書かれてありました。

死と直面する病気になった人だからこそ、その意味を考えるのかもしれません。

野上さんの文章力にも感心しますが、その直感力や表現力に驚かされました。
病気じゃない人も、ガンが嫌いな人にもオススメしたいと思います。

とても良い本に出会えました。