ハイフローシステムは酸素濃度を上げれば吸入量が下がる?



看護師をやっている弟からLINEがきました。

「ハイフローシステムの表は、酸素濃度が上がるのに吸入量が減るのはなぜ?」という質問でした。

これ、看護師の皆さんは意外と勘違いしている人が多いと思います。
(ということで、今回のブログネタにさせてもらいました~こういう疑問は共有したほうが良い☆)

 

酸素療法には「低流量システム」と「高流量システム」というのがあります。

普段、「ネーザル3L/min」とか「マスク5L/min」というのは低流量システムの酸素投与を言っています。

日常的に使っている酸素(低流量システム)は、「酸素投与量を増やすと酸素濃度が上がっている」と考えがちですが違います。

「濃度」と「流速」は分けて考えておいた方が良いです。

ネーザル3L/minは中央配管から100%酸素が1分間に3Lの速さで流れてきます。

マスク5L/minは中央配管から100%の酸素が1分間に5L/minの速さで流れてきます。

 

この場合、酸素流量を上げれば上げるほど「シューーー!」という音は強くなります。
一見、「酸素上げたら濃い酸素がたくさん来てる~☆」と勘違いしがちですが、濃度はいずれも100%です。

 

吸気流速の話になりますが、成人男性は1分間に30L/minの空気を吸っています(一秒で500ml吸うとして計算)

1回の呼吸で吸い込む空気の量は約500mlです。
空気を吸い込む速さを1秒とすると、500ml/秒という速さで空気を吸っていることになります。

吸気流速の単位はL/minなので、それを補正します。

計算式は・・・

500ml/秒÷1000=0.5L/秒 (mlをLに直した)
0.5L/秒×60=30L/min (秒を分に直した)

つまり、30L/minの速さで空気を吸っていることになります。

なので、マスクで15L/min(おそらく低流量システムではMax)で流しても、室内空気と混じって吸っていることになります。

 

高流量システムとは?

さて、高流量システムの話になりますが、こちらは「ベンチュリー効果」という仕組みで酸素の投与流速を上げています。

つまり、投与する「速度」を上げているのです。

投与された酸素の入り口を狭く作って、周囲の空気を吸い込ませます。
それにより酸素濃度は落ちますが、空気の流れる速さは早くできます。

ホースを細くしたら水の勢いが強くなる・・・そんなイメージでしょうか・・・(ちょっと違うけど・・(笑))

なので、ベンチュリーネブライザーの表は単純に酸素濃度を上げれば流速が上がるというわけではありません。

むしろ、酸素濃度を上げれば上げるほど流速は落ちます。

写真の表のように、酸素濃度を低く設定する(出口を狭くしてあげる)とその分空気の流れる速さが早くなりますので、多くの空気を届けることができます。

呼吸回数の多い患者さんやCOPDの患者さんなどは流速を上げて投与することで、呼吸は安定します。

ベンチュリーマスクは酸素濃度24~50%、ベンチュリーネブライザーは酸素濃度28%~50%の高流量酸素投与が行えます。

さらに、少し前から話題になってきている「ハイフローセラピー」は酸素濃度21%~100%まで設定可能で、流量も1L~60Lの範囲で設定できます。

間質性肺炎やⅠ型呼吸不全(CO2が高値ではない患者)に使用されます。

CO2が高値のⅡ型呼吸不全にはNPPVを使用したほうが確実にCO2が除去できます。

ハイフローセラピーの導入は流量30L~40L/min程度から開始し、流量の上限は50L/minを目安とします。
流速が早いということは「粘膜の乾燥や損傷」に注意が必要です。

もっと詳しく知りたい・・・という方は、エキスパートナース2017年11月号を読めば完璧に理解できると思います。
(詳しいのでオススメ!)