認知症ケア加算2の研修を受けてきました
先日、認知症ケア加算2の研修を受講してきました。
今回の研修は神戸で行われる講習会をインターネットのライブ配信で行われる研修で、神戸以外は全てスクリーンを見ながらの研修になります。
ただし、今回は認知症ケア加算2の研修になりますので、少々厳しかったです。
・5分以上の退席者には修了証は渡されません。
・居眠りが続くような人は修了証は渡されません。
つまり、それぞれの県の看護協会のスタッフが講義中常に見回っている異様な研修会でした。
講義は2日間に別れてありました。
一コマが長くて・・・(3~4時間)
休憩は少ないし・・・講義は下手だし・・・(←コラッ!)
非常に苦痛の強い内容の講義でした。
仕方ないですよね。認知症ケア加算2の算定を満たすためには9時間以上の認知症ケア加算に関わる研修会を受講した人が複数人病棟にいる必要があります。
国からお金をもらえる為の研修になるので、縛りがきつかったです。
ただ・・・内容はビックリするくらい知っていることが多くて・・・(汗)
「本見れば分かるよ」・・・って感じでした。
ただ2日間の講義の中で1コマだけすごく良い講義がありました。
非常に具体的で、リアリティのある話をしてもらい、この1コマだけは本当に良かった!
確か、「聖隷三方原病院」という病院の看護部長さんでした。
認知症の講義となると、ワンパターンなんですよ。
「高齢者に優しくしましょう」
「倫理とはどんなものでしょうね」
「認知症はこういう症状が出ますよ、せん妄とは違いますよ」
など・・・
何と言いますか、既知の正論を改めて聞かされている感じ。
- 赤信号は渡っちゃダメですよ
- 人を傷つけてはいけませんょ
- 万引きは犯罪ですよ
みたいな・・・「そうでしょうね」・・・と常識的に当てはめて、答えが初めから限られている内容なんです。
なので、全然講義が入ってこないんですね。
そんな事はわかっているけど、実際にできないから困っているんだよ。。。
と言いたくなってしまう。
夜勤で11人を見ていて、1人が「トイレ」と言い立ち上がる、危ないから付き添いでトイレに誘導しようとしたら、もう1人が同時に「トイレ」と立つ。認知症があるからトイレの場所はわからない、トイレに言っても、「トイレに座る」という行為ができない。
別の人がナースコールを押していると思うと、輸液ポンプのアラームが鳴っている。
トイレ誘導から戻ると、別の人がおむつを外してベッド横に排尿をしている。
シーツも病衣もビショビショ。。。
なんてケースは日常茶飯事です。そして、運が悪い時はその間に転倒される。。。
そんな中、記録もチェックも電子カルテに入力しないといけない。
電子カルテの記録に10分かかると、単純計算で10分×11人=110分(二時間弱)
こんな現状を現場で変えて行かないといけません。
認知症・倫理・せん妄はわかりますが、この認知症ケアの多重業務をどう工夫してこなして行くか・・という点を現実的に考えて行きたいですね。
でも聖隷三方原病院の看護部長さんの取り組みはスッキリしていました。
- 夜間帯のおむつ交換は辞めました。
- それにより高齢者は眠れるようになったし、スタッフの労力も減った。
- ついでにおむつのゴミも減った。
- 夜間帯の輸液も止めるように動いています
と言われていました。
漫然と2時間毎の体位変換やおむつ交換に必死になっている現場の看護師はハッとさせられたハズ。
眠っている時に突然陰部を開けられた時の気持ちを考えてみろよ。
気持ちよく眠っているのに突然身体の向きを変えられる不愉快さを想像してみろよ。
自分だったらイラッとして文句でも言いたくなるよ。
そして、文句を言ったり、手を出したりしたら、「BPSDじゃない?」って言われる認知症高齢者。
私も現場で働いている1人なので、反省されっぱなしでしたが、本当の「ケア」というのは「2時間毎の体位変換は必須」「おむつ交換は2時間毎」などというこちらの正義を変えていく事から始まるのではないかと思います。
医療器具は遥かに進化しています。
我々の頭の中はその進化に付いていっていません。
・夜間のおむつは変えない。
・夜間帯の点滴は行わない。
・夜間の体位変換はしなくても良いマットレスを使う。
など堂々と決めても良いのでは?
ただでさえ入院してストレスなのに、不愉快なことばかりされるとおかしくなるよ。
認知症ケアの行き着く先は知識からのケアではない、相手の立場に本当に立った時に見つかるケアだと思いましたね。
ユマニチュードの本も読みましたが、あの本は非常に良い!
あの下手な認知症ケアの研修より余程心と身体に染み付く。
病院の環境は異常な環境であると知ることからまずは始めるべきだと思う。
夜中に患者さんが泣き出したら、「またうるさい」と思ってしまう自分を戒め、「そうだよね、一人だしね、ちょっとお茶でも飲んで話でもしましょうか」と言えるくらいの余裕が欲しい。
もっとムダな電子カルテの業務量を減らして患者の心に寄り添うべきだ。
あ~熱くなった。
↓「看護師なら一度読んどけ!」って思う本