H28重症度医療看護必要度



平成28年診療報酬改定に伴い、重傷度医療看護必要度が変わる!

もう御存知の通り、平成28年4月から重症度医療看護必要度の内容が変わります。

病院にとっては本当に忙しい、嫌な時期になりました。
そして、今回の診療報酬の改定は7:1の病院にとってかなり厳しいものとなりそうです。

国の社会保障制度からみるお金の使い方

国の社会制度の動向を見てもわかる通り、必要な経費は右肩上がりになっています。

social-insurance-gross

社会保障は「年金」・「医療」・「福祉」に分けられていますが、高齢者が増える分、年金は必要になってきます。

この年金を削るということは、生活ができなくなる高齢者が増える・・・という事になり、積極的に減らす事が難しくなってきています。

国の方針を決める議員さんも簡単にこういうことは言えません。

福祉に関しても同様です。
「福祉のお金を減らす」ということは、障害を持った人のサポートが十分にできなくなり、その人たちは生きていけなくなります。

この辺りも手を付けにくい・・・

 

となると、医療の財源を減らして社会保障の財源を押さえたい・・・そう考えるのが一番現実的です。

医療を受けるのは病気になった人だけです。健康な人はお金がかかりません。
更に、医療費というのは非常に高く、まだまだ削れる部分があると考えられている分野です。

老人(税金を納税しない人)は増えているのに、若者(納税する人)は減っている。
収入が減るのに支出ばかり増えている・・・そんな社会です。

 

ハッキリ言って、道は2つに一つ。

税金を上げる(収入を上げる)または支出を減らす(社会保障のサポートを減らす)しか無いのです。

ただ、国はどちらも同時にやろうとしています。

 

無駄な医療とは

その疾患に対して、そんなに医療費をかけて治療する必要があるのか?

そう言われる時代になってきています。
確かにそうですよね。国にとって、納税していない人が一人数千万もお金を使われると他の人の医療費に手が回りません。

実際に現場での医療はお金がかかります。

救急の入院(ICUやHCU)では1日に10万円以上かかります。
(国民負担はその3割、高額医療などで保護されますので、実際には月に10万程度の支払い)

心肺補助装置などを使用すると1ヶ月で1000万~2000万かかる患者さんもいます。
そのほとんどが国の医療費から使われているとすれば・・・他の人の医療費が間に合いませんよね。

命を助けるにもお金がかかっている・・・という現実です。
そして、そんな重傷な患者さんは亡くなってしまう方も多い・・・

もう少し「治療の質」も考える必要があります。

それはそれとして、国は病院に対してお金のかからない医療を要求してきています。

 

H28年診療報酬改定の概要

「地域包括ケアシステム」の推進と「病床の機能分化・連携」を含む医療機能の分化・強化・連携を一層進めること。

つまり、大きな病院(急性期病院)は治療をさっと済ませて、医療をあまり必要としない場所に患者さんを移しましょうね。
具体的には、「さっさと治療して、お金のかかる病院にとどめておかないように」というメッセージ。

「これを各自で進めないとお金は出しませんよ」ということ。

「かかりつけ医等」のさらなる推進など、患者にとって安心・安全な医療を実現すること

「患者さんが慣れた病院で治療してもらう方が良いでしょ?」と聞こえは良いのですが、実際にはお金のかかる急性期治療(重症治療)は推進しないよ・・というメッセージに聞こえませんか?

重点的な対応が求められる医療分野を充実すること

緩和ケアや質の高いガン医療の評価、認知症患者への適切な医療の評価・・・云々、色々と良い風に書かれていますが、実際にはどうでしょう・・・

「できるだけ積極的にやる治療」よりも「どこかで治療はあきらめて、緩和などで人生の質を高めましょうよ」というメッセージに聞こえます。

 

効率化・適正化を通じて制度の持続可能性を高めること

後発医薬品の価格算定ルールの見直し、費用対効果効果(アウトカム)の試行導入など・・

お金のかからない仕組み作りをしましょう・・という事です。

費用対効果(治療にお金がかかったのに、その後の結果が悪いなら、それは無駄じゃん)という事を言いたいのだと思います。

 

全体的に言えば、「急性期の病院(お金のかかる病院)」を減らしましょう。

治療はホドホドにして、お金ばかりかかる医療はやめましょう。

と聞こえませんか?

急性期の先進医療をもつ病院はあまり歓迎されていないようです。

 

個人的にはこの考えを批判したいわけではありません。
それも一つの考えだと思いますし、現場にいれば「積極的な治療が正しい」とも思いません。

重症な患者さんはベッドに監禁され、自分で動くこともできず、苦しい治療に耐えなければなりません。
それが功を奏するかどうかわかりませんし、そのまま亡くなる方も多いのが現状です。

家族は「助けて欲しい」と簡単に言いますが、患者さん本人にとっては望んでいないケースもたくさんあるのです。

そして、一度治療が始まれば「やっぱりここで止めます」とは言えない空気になるんですね。

90歳を超えた方の心臓の治療なんて、回復に時間がものすごくかかります。
でも、手術をしてしまえばある程度の期間、人工呼吸器が必要で、そこで「もう止めて」なんて言えません。(そこで止めたら人殺しになります)

 

治療の選択をどうするか、インフォームドコンセントの技術も問われる時代です。

「家族がやって欲しい」と言ってきたときに、本当にそれで良いのか考える必要があります。

 

7:1病院はどうなる?

7:1病院は当該病棟入院患者の25%以上が重症度医療看護必要度の内容(A項目・B項目・C項目)を満たさなければなりません。

A項目2点以上かつB項目3点以上、A項目3点以上またはC項目1点以上です。

7:1病棟に入院する4人に1人がある程度「治療が必要な」患者さんになります。

治療をやっていない寝たきりの患者さんはその病院にいられません。
一昔前までは考えられない基準になっています。

心臓カテーテル検査後に自分で動けるようになった患者さんも適応外になります。

つまり、治療が落ち着いて退院を決める事が難しくなってきます。
今後は、治療しながら、翌日には転院(または退院)になります。

それを満たせないなら、そんなにたくさん看護師要らないでしょ・・・という事です。

怖いですね・・・

まぁ、国は7:1病院を減らしたいわけですから、厳しくなりますよね。
これから先、高度な医療が受けられるのは都会だけになるのかもしれません。

 

正直言って、7:1確保はかなり難しいと感じています。
治療が終わってすぐに「退院良いですよ」となっても、帰る場所のない患者さん、受け入れ施設のない患者さんは現在でもたくさんいるのが現状です。

ただ、現在の人数でも忙しい看護業務なのに、10:1になれば更に看護師が減ることになります。
ということは、その負担は患者さんに行くことになります。
(忙しくて、すぐそこに行けないという現状が日常的に発生する)

なんだかあまりハッピーな感じではありませんね。