発熱時の看護と対応

体温



体温

現場での発熱をどう考えるか?

患者さんの発熱って、悩ましい時がありますよね。

「なぜ突然発熱?」

「どうして数日も発熱が持続するの?」

「夕方になると体温が上がる?」

「冷やすの?温めるの?」

本当に発熱に関しては、現場の看護師なら一度は経験しているはずです。
そして、一度は悩んでいるはずです。

以前は「セットポイント」という言葉に悩まされました。

 

発熱のセットポイントって何?

セットポイント・・・看護学校を出た人なら一度は聞いたことがあると思いますが、これを説明するのは難しかったりします。

人間は恒温動物という哺乳類です。
体温を自分で一定に保つ機能が備えられており、体温が上がり過ぎたり下がり過ぎたりすると身体が機能しなくなります。

そこで、ある程度「この辺りに体温を調整しなさい」という脳の働きがあります。
これをセットポイントという言葉で表されています。

何らかの刺激(例えば菌が身体に入ったとか、外気が下がったなど)があれば、セットポイントを変えて体温を上昇しようとします。

そして、セットポイントが変われば、その体温になるまでに何とか身体を温めようとします。
症状としては「シバリング(振戦)」など大きな筋肉を震えさせて熱を産生しようと動くのです。

 

シバリング時の対応

かっこ良く「シバリング」という言葉を使う必要も無いかもしれませんが、つまるところ「震え」です。

通常の元気な人も寒ければブルブルと震えますよね。
あれは熱を産生しようとする身体の働きです。

ただ、患者さんというのはこのシバリングにより悪い影響がでる場合があります。
ただでさえ弱っています。

栄養状態が悪かったり、心臓が悪かったり、免疫力が落ちていたり、酸素化が悪かったり・・・

ただでさえ悪いのに、シバリングが起こると、無理矢理に運動をさせられているようなものです。
身体がきついのに「全力疾走で200m!」なんて言われると、「無理・・・」ってなりますよね?
こんな状態です。

シバリング時の対応はまず、酸素化を保つこと。
低酸素は脳や各臓器に悪い影響を与えます。低酸素状態が続けばアシドーシス(酸化)が進み、不可逆的なダメージを受ける可能性もあります。

まずはSpO2モニターを装着し、酸素投与が基本です。
酸素化が保てればまずは一安心です。

 

シバリング時は温める?冷やす?

ハッキリ言って、これはケースバイケースだったりします。

患者さんの不快が軽減されるなら温めるほうが良いと思います。
意識のはっきりしない患者さん(障害や鎮静中)は無理に温めると、その後の体温調整が難しくなります(上がりすぎる事がある)

通常なら10分~15分程度で治まる場合が多く、寒くない程度に保つ事がベストかもしれません。

文献にもハッキリ書いてある本は少ないですし、正直「どっち?」と言いたくなるような内容です。

シバリングがおさまった時にクーリングを行う・・・と考えている方も多いかもしれませんがこちらも違います。

最近言われているのは、「視床下部のセットポイントを下げに行く」という事です。
つまり、解熱剤などを利用してまずはセットポイントを下げます。

クーリングは賛否両論あります。
解熱剤が効果を示し、「暑熱反応(発汗・末梢血管拡張など)」が見られた時に表面冷却を併用すると効果的と言われていますが、ここで推奨されているのは「氷」ではありません。

ぬるま湯タオルやぬるま湯ガーゼなのです。

氷は寒冷反応をきたしやすく、末梢循環障害を惹起させる可能性もあり、最近はあまりおすすめされていません。

氷枕というのも時代遅れなのかもしれません。
と言いながら、私のサイトでは氷枕の作り方なんてページも書いていますが(笑)

 

解熱剤は早く使ったほうが良い?

発熱時に使いたくなるのが「解熱剤」です。

以前はNSAIDs(エヌセイズ)が多く使われていましたが副作用などを考慮して、最近はアセトアミノフェンが主流になってきました。

ただ、ここで面白いデータが有ります。

オーストラリアとニュージーランドとイギリスの67万人のICU入室患者の24時間以内の体温と生命予後の関係を解析したデータによると、最高体温が39.0~39.4℃の場合、死亡率が最低だったそうです。

逆に、36.5℃未満が死亡率が一番高かったとデータが有ります。

つまり、体温は高いより、低いほうが危険ということになります。

感染症患者では体温が高くても死亡率は高くなかったそうです。

 

解熱アルゴリズムによると、

  • 高熱症(熱中症など)は解熱
  • 感染による発熱なら41℃までは解熱処置なし
  • 41℃以上なら解熱をする
  • 急性脳障害や心不全があるなら39.5℃以上の体温で解熱を試みる

となっています。

ただし、視床下部がコントロールする発熱は41.5℃までであり、42℃を超えると全身の細胞が不可逆的な変化をし、臓器障害が起きる可能性がありますので、注意が必要です。

解熱剤の使用も「早期に!」とは言い難いみたいです。