蘇生ガイドライン2015の変更点



蘇生ガイドライン2015の変更点がわかりにくい

g2015

BLS(一次救命処置)・ALS(二次救命処置)の蘇生ガイドラインが変わりました。
正しくは「JRC蘇生ガイドライン2015」という名前です。

蘇生ガイドラインとは、蘇生における市民と医療従事者に対する処置や診療の指針となるものであり、5年毎に改訂が発表されています。
今回の蘇生ガイドライン2015は2015年10月に発表されました。

実は、今まで日本では国際蘇生連絡委員会(ILCORーイルコア)に参加していませんでした。
そこで、ILCORが発表された英文を翻訳し、発行されていたのでそこにタイムラグが生じていました。
これが現場で「知っている人」「知らない人」が出てくる原因となっていました。
(英語を読める人はより早く知り、英語が読めない人は遅くなるというギャップが起こっていた)

今回、ILCORに参加していたので、世界の発表と同時に日本語訳も発表されました。

しかし、発表されたところで、「今までとどう違うの?」と感じた方も多いと思います。
そこで今回、少し整理して書いてみようと思います。

ちなみに、JRCのサイトはこちらです。
(はじめ見た時、サイトページがダサくてびっくりした(笑))

http://jrc.umin.ac.jp/

 

 

蘇生ガイドライン2015ーBLSの変更点

●呼吸が変わりました。

呼吸なし、または死戦期呼吸

わからない時は胸骨圧迫を開始

迷ったら、人工呼吸よりも胸骨圧迫を優先せよ!という事です。
呼吸と脈の確認に10秒かけてはいけません。

実は、胸骨圧迫のみであっても、人工呼吸付きの蘇生であっても、社会復帰率は同等あるいは胸骨圧迫だけの方が高いというデータが出ています。

要は、どれだけ早く胸骨圧迫が開始できたかという点が重要です。

 

●胸骨圧迫の深さが変わりました

約5cmで、6cmを超えない

これって難しいよね?・・・というのが正直な感想です。
弱すぎず、強すぎず・・・訓練しておきましょうというのが言い分。

胸骨圧迫のテンポは100~120回/分

そして、酸素についても明記されました。

30:2で胸骨圧迫に人工呼吸を加える
酸素は100%投与
人工呼吸ができない状況では胸骨圧迫のみを行う

人工呼吸は約1秒かけて胸が上がる程度の換気量で行う。
過大な過換気は避ける
人工呼吸実施に伴う胸骨圧迫の中断は10秒未満にする。

 

蘇生ガイドライン2015ーALSの変更点

電気ショックについてコメントが付きました。

マニュアル除細動器、2回めは「より高エネルギー量で」

1回めが150Jで、再びVfが出れば、次は200Jで・・・というようにジュールを上げていきます。

蘇生時に使う薬剤についても書かれています。

蘇生時の血管収縮薬はアドレナリン
(バソプレシンの推奨は外されました)

通常の使用としては、AsystoleやPEAなどの場合、すみやかに(1~3分以内)が望ましい。

投与方法は1回1mg(1A)を静脈内投与し、3~5分ごとに投与(極量なし)となっています。

 

蘇生時の抗不整脈薬は「アミオダロン」
使用できない場合はニフェカラント・リドカイン

 

低体温療法の体温は32~36℃
いずれにしても一定の低体温に保つことが重要

 

蘇生ガイドラインの考え方が「GRADEシステム」で変わってきている

今回のガイドラインの学術上のポイントとして、「GRADEシステム」というものが採用されています。

これまでの問題点として、

  • エビデンスの質と推奨度の強さが区別されていない
  • 判断の過程が透明性を欠く
  • 推奨の根底にある患者にとっての価値観と好みが明確に考慮されていない

というものがありましたが、「GRADEシステム」はこれらの問題点を克服する目的で開発された、診療ガイドラインのためのシステムです。

エビデンスは一つの論文ではなく、アウトカムを中心として複数の論文を統合して用いられるようになりました。
推奨度はエビデンスの質だけでなく、利害のバランスや価値観・医療資源・コストなどという視点も入るようになっています。

いくら良いものでも、「患者にとって有益かどうか」という視点が入ってきたことになります。

 

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA