血圧低下はどこで判断するか?
血圧の上昇や低下・・・臨床ではよくありますよね。
血圧が上昇したとき、または低下したときに何を考えれば良いのでしょうか。
看護師なら知っておきたい血圧の定義
血圧を決める要素は2つ。
●心拍出量
●血管抵抗 です。
教科書には 血圧=心拍出量×末梢血管抵抗
書かれていると思います。
つまり、「血圧が上がった」ということは、「心拍出量」または「血管抵抗」があがった(または両方上がった)
「血圧が下がった」ということは、「心拍出量」または「血管抵抗」が下がった(または両方下がった)
という事がいえます。
心拍出量って何?
心拍出量とは、心臓が1分間に駆出する血液量です。
(言われれば「なるほど」と思う)
では、何に左右されるか?
一回の駆出量(Stroke Volume)や心拍数(Heart Rate)に左右されます。
心臓の機能が弱っていたり、Af(心房細動)などの不整脈により駆出量が落ちると心拍出量は落ちてしまいます。
また、血液量自体が少ない場合(出血や脱水など)も駆出する量は減ってしまいます。
血圧低下の要因は心臓の問題なのか、血管の問題なのかを冷静に見極める必要があるのです。
看護師も水分バランスを考えよう
臨床ではよく水分バランスを考える必要があります。
指標としては
●体重
●水分in-outバランス
●手術中のバランスの把握
などが指標となります。
他に、尿比重や尿量の確認でも予測がつきますので、参考にします。
(尿量は0.5ml/kg/時以上を目指す)
不感蒸泄は、手術を行えば増大します。
目安として
●開胸術中:4~6ml/kg/時
●開腹術中:10ml/kg/時
●小切開中:1~2ml/kg/時
となります。
腹部は水分が失われやすいので、注意が必要です。
(もともと腹部は水分が多い部分です)
つまり、開腹の手術が3時間行われた場合、体重50kgの患者さんでは
10ml×50kg×3時間=1500mlもの量が不感蒸泄として失われるのです。
さらに、手術=炎症が起こる と考えておくべきです。
炎症って結構面倒なのですが、血管浸透圧が上昇(血管内から水分が逃げる)したり、血管自体が拡張するので血管抵抗が下がったり、アルブミンが失われたり・・・いろんな要素で、からだは水分不足に陥りやすくなります。
モニターデータではCVP・・・などと少し前まで言われていましたが、最近は「値がもともと小さいので判断に難しい」と言われています。
SVR・SVRI・CO・CIなどのモニタリングが容易にできるようになっており、そちらの方が使われることが多いです。
モニタリングできる環境に無い場合は、
●心拍数はどうか?(水分が少ないとHRは上昇する)
●末梢は冷たくないか(水分不足では交感神経を優位にするので末梢血管が収縮し、四肢が冷たくなる)
●呼吸回数は早くないか(水分不足で酸素が運搬しにくいと、酸素が不足し、呼吸数も上がる)
(この場合、不感蒸泄も増大するので注意が必要)
●発熱はどう?(熱が上がると、血管が拡張して血管抵抗の低下⇒血圧低下を招く)
など考えていかなければなりません。
ただ、手術による「痛み」があると、HR(心拍数)の上昇や交感神経の緊張が起こるので、痛みは積極的に取っていく必要があります。
(こちらは、最近J-PADガイドラインなどで謳われていますよね)
鎮静管理ではなく、痛みのコントロール・不穏/せん妄予防が優先される時代になっています。
数年前まで術後の管理は医者がするものと考えられていました。
しかし、近年では看護師も知識を増やし、医師にどんどん進言していくように変わってきました。
つまり、見落とし=看護師の責任 と見られても仕方ありません。
突然ショックになった場合、「その前に何らかの兆候は無かったのか?」を探らなければなりません。
看護師の中にはプレッシャーを感じる人もいるかもしれませんが、そういう時代になっているのです。
責任を持って患者をみるという事を受け入れなければなりません。
みんなで頑張りましょう!
くどくなってきました(笑)
この辺で・・・