熱中症をバカにしてはいけない
突然暑くなりましたね。
私の住む地域でも35度超えで、日中はムシムシするし、夜は寝苦しいし・・・
クーラー入れると寒いし・・・(汗)
体温コントロールの難しさに悩んでいます。
突然の気温の変化で見られる「熱中症」について今日は書いてみようと思います。
熱中症による影響
熱中症・・・Wikipediaによれば
暑熱環境下においての身体適応の障害によっておこる状態の総称である。 湿球黒球温度21~25℃で要注意となるといわれている。
体温が高温になりすぎてコントロールを失った状態です。
主に「脱水」が言われていますが、その先に潜んでいる合併症の方がやっかいだったりします。
高体温により、体温中枢がコントロールできなくなります。
全身の血管は拡張し、血管抵抗は低下、それに伴い血圧は低下。
脳の血流が減れば意識レベルも悪くなります。
熱による影響で神経系にも異常をきたし、脳の未発達な小児ではケイレンが起きる場合も・・・
また、それ以外には筋肉組織の破壊も起こる場合があります。
横紋筋融解症と言われる症状があれば、壊れた筋肉組織からカリウムの流出や血球が破壊され、
その副産物が腎臓の糸球体を詰まらせてしまいます。(ATN:急性尿細管壊死)の状態に
なってしまうと、透析療法が必要になります。
カリウム上昇による重症不整脈にも注意しなければなりません。
本当に怖いのは熱中症の治療による合併症
熱中症の治療をする上で、多くの輸液を使用します。
つまり、脱水になった身体に急激に水分を入れるわけです。
通常の人(若い健康な人)なら問題ないことが多いのですが、お年寄りになると、それにより心臓に負荷がかかります。
心臓が元々弱っている人であれば、容易に心不全→肺水腫を起こしてしまうのです。
呼吸が保たれなければ人工呼吸器の管理が必要になります。
それによるVAPなどの影響も考えられます。
熱中症は単なる脱水ではすまされない状態になってしまうのです。
熱中症の看護
まずは早期発見が大事です。
熱中症の急性期は「体温コントロール」と「脱水予防」です。
体温を適正にコントロールし、輸液のin-outをしっかりと把握しておく必要があります。
バイタルサインで一番意識しておきたいのは脈拍数(または心拍数)です。
早期は血圧に影響しないことがありますので、注意が必要です。
(体の防衛反応として、末梢血管を収縮させて、血圧を維持しようと頑張るメカニズムが働く)
同時に年齢などを考慮し、心不全症状が出ていないか観察します。
(急激な大量な輸液は心不全のリスクがあります)
できるだけベッドアップが望ましいでしょう。
尿の観察も大事です。
色が濃いとミオグロビン尿が疑われますが、色や量を適宜観察しておきます。
早期に輸液を投与しないと、腎不全になり取り返しの付かない状態になることもあります。
輸液(水分補給)を早期にしたい。
でも、腎不全や心不全は予防したい・・・
その見極めが非常に大事になってきます。
24時間ベッドサイドにいるのは看護師です。
先生の指示通り、大量の輸液を持続投与したままで、Wheezeが出現するのを見落とさないようにします。
医師は私たちが思っているほど患者を把握していないと考えておいたほうが良いでしょう。
不穏な症状が出たら、何かのサインかもしれません。
元気になってきただけなら良いのですが、そうでない場合もあります。
「変化」が起こったときに「なぜか?」は必ず意識しておきたいですね。
ちなみに、高体温状態の患者を冷却するときは、急激に水に漬けないようにします。
(末梢の血管が収縮して熱放出を妨げる恐れがあります)
少し「ぬるめのお湯」と「風」の方が効果的です。