看護師のベッドサイド教育(OJT)を考える



最近やたらと言われる「OJT」
つまり、On The Job Training 臨床での教育をさします。
看護師が主にいるのはベッドサイドになるので、ベッドサイド教育などと言われています。

私の勤める施設もここ数年は「ベッドサイド教育」に力を入れるようになりました。

しかし。

しかしですよ。

「チェックリストをベッドサイドで行っている」だけ
という現状があります。

ベッドサイドに後輩を呼び、患者の傍でチェックリストの紙を広げてチェックをする・・・

それをOJTと勘違いしている人がたくさんいます。

これって、チェックリストの場所をベッドサイドに変えただけジャン。

それで何かが変わるのか?と感じるわけです。
そりゃ~リアリティはあるかもしれませんが、内容が薄すぎます。

「暗黙知」という言葉を知っていますか?
「あんもくち」と読みます。

教科書に書かれていないような「知識」「知恵」を総称して「暗黙知」と言いますが、この暗黙知をベッドサイドで伝えていくのがOJTではなかろうかと思います。

例えば、心筋梗塞の患者さんが入院して来ました。
心電図変化・どこが詰まったのか?・・・などの観察項目等は教科書を見れば書いてあります。

OJTはそれだけではなく、「この患者さん太っているよね?」
という事は、体液量はどのくらいになる?投与されている作用と副作用は妥当かな?

HRが早いけど、なぜ?
熱が出ていない?心臓が原因?元々早いのかな?尿量は?・・・

などという複雑な情報を整理してアセスメントにつなげる。

今ベッドアップすべきなのか否か、患者さんの精神状態はどうか。
突然の環境の変化に患者さんがついていっているか?

など多角的に状態を見て判断するための教育です。

この場合、教科書に書かれている情報なんてほとんど役に立ちません。
ベッドサイドに立った時に肌で感じた情報を噛み砕き、それがどういう意味を持つのかを理解し、まとめて判断する。記録する。
という力が大事になってきます。

教育の方法は人それぞれになってしまうかもしれません。
教えてもらう人の理解は、暗黙知を伝える人の力量やプレゼン力に左右されるでしょう。

しかしそれがベッドサイド教育(OJT)の面白さであり、難しさだと思います。本当はこの暗黙知を標準化できて、誰がやっても同じようなレベルで伝えていければ良いのでしょうが、現状では難しい面があります。

複雑な患者の状態や教える看護師の経験年数、実力など複雑な要素がありますので、簡単にできるものではありません。
情報を受け取る側のスキルも必要になります。

現場教育を充実させるには、まずは現場スタッフ全体の底上げをやるしかありません。
看護師の教育について悩んでいる人も多いと思いますが、教育というのは時間と根気が必要なものです。